ホッブスは人間相互の不可避的な戦争の源泉を形作っているのは人間の平等=同等性である点を強調することを怠っていない。従って“自然に同一な者たち”には万人が平等な確信をもって脅威と感じる法則が必要となるわけである。その法は、彼らがお互いに対して目論んでいることを実行に移すことを妨げるものである。……「こうした能力の同等性から目標の到達への同等性が生じてくる。そういうわけだから、二人の人間が、二人同時に享受することが出来ない同一のものに対して願望を抱く時には、二人はお互いに対して敵になるのである」(ペーター・スローターダイク「大衆の侮蔑」)

個々人は己自身の要求の中で抑圧的社会を再生産する。(ヘルベルト・マルクーゼ「ユートピアの終焉」)