Aと付き合うことでA以外と付き合う可能性を狭めてしまう躊躇いと、現段階でAと別れることの口惜しさが同等の均衡を保つとき、その状態は幸せと形容できるだろう。つまりは人と付き合う術よりも別れる術、とりわけ関係を発展させない術(情感をいなす技術)が尊ばれるべきだ。その諸段階において、自らの立場を詳らかにするのは控えなければならない。自らその立場を明らかにすることは、なおさら対処を悟らせて危険を伴うことだ。