花火を見て、およそ一年ぶりの花火を憐れむ。
たかだか三千の斑みさえも死別の先触れを送っている。
蒼穹を滑り落ち、その明滅する彩なす廻転は、その切っ先にてぞ見限られて、せいぜい端境を焚くのに徹している。
大気にさらわれる一片。坊やの手に作った窪みには陰が白々しく溜まっていた。
夜な夜ながつつがなく、もう跳ね上がる薬玉の軌跡のひたむきさがただ悲しい。
夏を悼むにして、日ごと哀傷の重みは、奥津城被さる土より重かろう。