コスタ・ブラバのカラ・モンジョイにある美しい入江を読みながら、投げ打ってあったフランスパンを捻るようにしてちぎって右の奥歯で噛むものだから私の額は左右の均衡を保たないのだ。エポワスの熟成がその内部で均等でなくわずかばかりの芯を残して流れ出してしまうように、周囲の音から少しずれたテンポで歩いてみる(あるいは歩いていない)私はさながら寿陵余子である。止揚していま戯れにカイヨワの『反対象』を手に取ればウェルギリウスの「奇数は神がお気に入り」の小節。そう、偶数は不如意であった。偶数=2のあいだに在る単一の距離は常に一定のものではないからこそ、問題はその距離=歩幅が身体性におけるドクサとなりえるその潜在的なものの全体だ(誤謬まで含めて)。