マックス・ピカートは子供の魂への粗野な闖入を諌めるために以下のような事例をひいているが、このことは子供に限った話ではなしし「死」に対して優れた一つの態度だと確信できる。「語る」ということによってさえも望む事物に繋がれるということを忘れてはならない。

ユネスコの或る会員が私に話してくれたことであるが、ユネスコは各種の学校に質問用紙を配って、死に対してどういう気持ちを持っているか、また何に対して死ぬ覚悟が出来ているかということを、十六乃至一八歳の青年男女について調べようとした。ただ一つの返答だけが彼にとり重大であったという。つぎのように答えたのは或る女生徒のクラスであった……「われわれは死に関して何も知ろうとは思わない、また何に対して死ぬ覚悟が出来ているかは各人の秘密であって、秘密は秘密としてそっとしておいてもらいたい。」