basilides2006-02-09

メモ

・論理はその人間性から乖離してあるが、言語は人間性に密接であるがゆえに言語と論理の非整合性は狂気を生む。
・社会的な出来事としての芸術は関心を強いかたちで乞い、要求するが、個人的な出来事としての芸術は関心を方向づける。
・私は私である限り、ますます良いだろうという過信。
・世界の自乗化などと大それたことを考えると何やら寒気がして何もなすことなく怖気づき、考えを放り出して諸手を挙げて遠ざかりたい衝動にかられる。
・世界の正当性を認めないならば世界を変革=改竄すればいい。だが世界の存在そのものを信じられなくなったならば?
・愛を介さずに繁殖すること。精液の浪費に腐心するということ。
・物質の根本的疾患――老化。
・自らに関わる人々が多幸感に苛むのに対し激しい憤りと寂寥感を感じずにはいられない。これこそが惻隠の情であろうか。
・一つのものが蔓延する貧しさに同調してはならない。それは清貧ではなく、ただ貧乏ったらしいだけなのだから。
・視線こそが散らばる世界を面前にて凝集する。ともすればそれを暴力的と言わずして何といえよう?
・戦争勝利や敗戦などと比べ終戦という言葉の響きはなんと平和的なことか!惜しむらくはこの世界に終戦というものが成立しないということだろう。
・許容的であるよう性格づけられた現代では人の度量を超えてあらゆる点で全てが任意のものである。
・芸術において「新しい」はない。「新しかった」はある。つまり「旧い」しかない。制作の新旧に価値を認めたとき商業主義が芽生える。消費の時代だ。
・もし私が神と対峙したとき、すぐさま神をそれと知ることが出来るだろう。そこにさしたる確証はない。だが道すがら、はたと見た犬を犬と分かるように、神も見てなお分かる猥褻な類のものであるだろうからだ。
・もし物自体が不動のものであるならば人も水に似て世界の傾きにその身を委ねる。
・思考の系譜は歴史の変遷を辿る上では有効だが、私という極めて短い射程でみるとき冗長に過ぎる。
・幸福を自ずから知る人、確信する人、そして断じられる人こそ幸福な人だ。しかし全ての断言そのものは例外でしかない。
・何によってさえも世界は動揺しまい。それこそが世界の健常な無関心さ。人の目指すべきところ。
・ある物語を甘受するということは他なる物語を看過することをも許容するということだ。
・世界は一方的な光線の束であって物自体はその対遮物でもある理の影。物自体の問題は理に対して表向きか裏向きかということに尽きる。