ル・クレジオ「愛する大地」

たまたま地上にぼくは生まれた。生ける人間としてぼくは大きくなった。デッサンの中に閉じこもって日々が過ぎた。夜々が過ぎた。ぼくはああした遊びをみなやってみた。愛された。幸せだった。身ぶりを入れ、わけのわからぬ語を口にして、それとも無遠慮な質問をして、地獄にそっくりな地帯でぼくは大地に生み殖やした。沈黙にうち克つために。真実のすべてを言いつくすために。ぼくは涯てしない意識のうちに生きた。ぼくは逃げた。そしてぼくは老いた。ぼくは死んで埋葬された。