「セブンス コンチネント」を観て「何故R氏は発作的に人を殺したか?」を思い浮かべ、俳優の顔をなるたけ映さなかったのに納得する。冷たい憤怒の果ての悲劇も似ている。しかしどちらの暴力性も物語に執着しないという姿勢において感心できない。共時的な感性に齟齬があるとは思わないが、壊すべき(貶めて欲しいと期待される)倫理の前提が家族のほか見当たらないのはハネケの手落ちだろう。