飢えは人間存在の底辺だ。祈りとは飢えへとへり下る行い。
飢えの底暗さは、存在の虚ろだ。
ウナス王の苛烈な飢えは女子供をも喰らい、猛て世界を喰らいつくさんとして星辰さえもが震えた。
恥じらいの中に飢えは濯げない。
産まれ落ちて初めて与えられるのは乳と名だ。
持たざるものに、名にし負う者が与えられるは唯一の名だ。
名の前には、無意味な言葉の繰り返しとしてのプシタシズムと人を抱き寄せる程度に長い腕が残るだけ。
しかし与えること、それは確実の赦しだ。

「わたしをして土たらしめよ 一握りに足らぬ土たらしめよ
 わたしをして人間たらしめよ わたしをして歌わしめよ」(中桐雅夫)