basilides2008-11-01

油を注がれる者は湯気だつ腹を抱えて、齢を尋ねるようにして地おもてを向こうに引き始める。やがて上の方に差し出され垂直に積み重ねられたこの手、この手と一つに交じりあってしまった手と手。たやすくこの手を結び付けられ、あたかも手に降るかの息であるところの不在が風に払われて、たまさかことごとくの手が口々を塞ぐわけだ。確かに唄う。口からこぼれる麦になおわずか供えられる発音の感触がますます朗らかであったために。仰ぎ見る空は円い窓である。南風を撚るべきまた一つの手は、影をよそってわが子の目蓋にこぼしてやっている。(basilides「手」)